NPOレポート

市民との「情報共有」による施設運営


宮崎市の「指定管理者制度に関する基本方針」を見て
一番気になるのは、指定管理者に移行する方が面倒だということ。

 「すべての施設」について、所管課が導入を検討することになっているが、
「民間の経営手法を取り入れることで、利用者のサービス向上と
管理運営経費の縮減を図る」という制度導入の目的が達成されるだろうか。
施設設置条例の改正や議会の手続き、公募した場合に応募があるか等を
検討した結果、運営経費の削減を強いられる施設以外は、直営を継続という
結論が、平成16年度末に出されるのではないか。

 そこで、むしろ、直営を継続する方が説明が面倒になる仕組みにしてはどうか。
直営を継続する所管課は、市民への説明責任がある。
直営のままの方が、利用者のサービス向上と管理運営経費の縮減が図られるという
説明を求められれば、本気で、指定管理者制度との比較を検討するのではないか。

 行政内部で検討し、指定可能な団体を特定した上で、制度を導入するのではなく、
市民との「情報共有」により、直営か指定管理者かを決定する段階から
市民参加を求めるシステムを導入してはどうか。

 月刊「自治フォーラム」2004年8月号の『横浜市の「指定管理者制度」の導入について』の中で、
磯子区民文化センターの指定管理者の選定手続きが紹介されている。
 平成17年2月に新たにオープンする施設について、平成16年1月から6月にかけて選定手続を行った。
公募型プロポーザル方式を採用し、二段階による提案審査で、優先交渉権者及び第三順位までの
交渉権者を選定している。
 審査委員会の構成員をすべて外部の有識者とし、傍聴人のいる中で審査委員による公開ヒアリングを
行うなど、公平性、透明性の確保に留意している。
 24団体から応募があり、第一次審査で6団体まで絞込りこみ、最終的には既存施設と同じ法人となった。
その結果と経過は、ホームページで公開されている。
http://www.city.yokohama.jp/me/isogo/houdou/is-kubun/
 結果的には既存施設と同じ法人になったが、選考過程における公平性、透明性の確保については、
横浜市で、残りの施設について制度を導入していくに当たって、よい前例になるとしている。

 宮崎市の場合、新規オープンの施設だけでなく、運営規模の大きい施設については、
公開ヒアリングなど、公平性、透明性が確保される手続きで進めてほしい。

 キーワードは、市民との「情報共有」による施設運営。
まず、17年度当初に、直営でいくか、指定管理者を選定するかについて、情報を公開する。
 直営でいく場合は、直営のままの方が、利用者のサービス向上と管理運営経費の縮減が
図られるという説明、または、他県での導入事例等を参考に判断した理由を公開する。
指定管理者を選定する場合、今後、どういうスケジュールで選定手続をすすめるかの案を示す。
全体の案を事前にホームページ等で公開した上で、市民への説明会を開催する。
 説明会やホームページ等での意見も参考にした上で、市の案をまとめ、
たとえば、議員を中心にした公開討論会を開催する。

 計画段階から、市民との「情報共有」を進めることにより、
直営、指定管理者制度のいずれを選択した場合でも、市民参加が促進される。

 今後、どのような手続き・スケジュールで、「指定管理者制度」を導入するのか、
市民と情報を共有するために何をするのか、
公開ヒアリングなど、選考過程の公平性、透明性を確保する仕組みをどうするのか、
具体的に示してほしい。

     【街・元気事務局S】(宮崎市のパブリックコメントに応募しました。) 




                                              

 

   
   
 
 
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