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NPOレポート
 
 

                                                                                                                         


宮崎NPO事情B「NPO法人のビル所有で事業が広がる」

 


 
 
 

 

  親は、子どもを大学まで入れて、卒業させるのに、多額の教育費をかける。
それと同じですよ。この子は、大学に行かない。
その分、この子が生活していけるようにお金を使いたいと、NPO担当者は言われた。

 (1)知的障害者の職場の実現に関する事業
 (2) 知的障害者の安定した生活環境の確保に関する事業

 NPO法人「いつか会」は、このふたつの事業に取り組むために設立された。
子どもたちの働く場と生活の場となるビルを所有する。
NPO法人で借金してビルを保有すれば、親が死んでも、子どもたちが生活していける事業が残る。

 NPO法人の借金は、長期借入金が8割、代表者勘定が2割。
入居者の負担金を、高鍋信用金庫への返済に充てている。
                                               
 県内の他の金融機関の役員だった利用者の父親の信用で借りた。
平成12年3月31日に認証されたNPO法人への多額の貸付は、 全国でも異例のことだった。
友情と確かな返済計画があったから実現した。
                                


 いつかビルの1階の喫茶「アンジュール」は、福祉作業所だった。
 http://www.machi-gennki.net/ouen/index.htm
さおり織の「いつか工房」とともに、今は、社会福祉法人「いつか会」の
授産施設になった。

 2つの授産施設で働く26名の障害者のうち16名が ビルの2〜4階で暮らしている。
こちらは、宮崎市のふれあいホーム事業で世話人を雇用している。

 NPO法人がビルのオーナーになり、社会福祉法人の事業と 宮崎市の事業に、物件を

無償提供している。
利用者の負担金は、障害者年金でまかなえる範囲に積算されている。

 働く場は、事業として継続できるようワンコイン(500円)ランチにこだわった。
素材はいいものを使う。その日のうちに使い切る。
毎日、新鮮な素材で、原価率の高いメニューが並ぶ。

 働きたい子どもたちが増えたので、店を増やした。
今度は、宮崎県の新富町のそば粉を使った手打ちそば。
温かいそばもザルそばも、イナリ2個とデザートがついて500円。
      


 2004年は、災害でそばが不作だったが、 「新富のそば」という看板へのこだわりが理解され、
2005年も、例年の量が確保できる目処がたった。

 そば屋の隣の2階はケーキ工房。    


今は、アンジュールとそば屋で販売しているが、 ワインとケーキの店の準備も進めている。
                

  
 そこで扱うワインは、栃木県の知的障害者のワイナリーに決めている。
  沖縄サミットでも使われた逸品。
  ギャラリーも兼ねた店舗は、若い女性がターゲット。

                                            


 NPO法人がビルを所有できたから、事業が広がってきた。
NPOとしての事業は、借金をして、負担金で返済するだけだが、 知的障害者の「職場の実現」と
「安定した生活環境の確保」は着実に進められている。

 障害者が、街中で働き、暮らしている。
福祉作業所をつくるときは、周辺住民の同意書がいる世の中で、 この社会的意味は、とても大きい。

 当事者のニーズに合わせて事業を展開する。
行政の予算の制約や金融機関の融資の制限を乗り越えていく。
親の想いで、ひとつひとつ実現してきた。

 あの頃、お金がなくても法人が設立できることもNPO法人制度のメリットだった。

 今では、1円で株式会社が設立できる。

「いつか会」は、それでもNPO法人を選ぶ。法人が解散するときに制限があるからだ。

借金の返済が終わっても、勝手に財産を処分できない。

 事業に必要な財産をNPO法人が所有する。それをきっかけに事業が広がる。


  NPO法人の「宮崎モデル」がここにあった。



                                         【街が元気だネット事務局】

 

 

 
   
   
 
 
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