*このレポートは、「メディアミックスによるNPO・ボランティア広報事業」(宮崎県社会福祉協議会委託事業) の一部です。
【お話】正応寺ごんだの会
代表 石井和郎さん

日本で初めて、住民自治会から発足したNPO団体。地域住民で、地域環境を整備・構築しています。

 自分達で考え、できることは自分たちでやる村づくりを。「いつまでも活発に、住みやすく」。

 公民館長をすることになったのが、この組織ができるきっかけになりましたね。公民館長は名誉職じゃなくてね、知事じゃないけど、長になったら地域の営業マンにならないといけないんだよ。役場に足繁く通って、話をきいてもらて貢献してもらったり、協力してもらったり、予算組みをしてもらったりしないといけないから。と話してくれたのは、代表の石井和郎さん。
 農村地の将来を考えた時、少子高齢化で10〜15年先には後継者もいなくなり、さらに荒廃していくというのは逃れられない現実。そこで、ワークショップを開催し今後の取り組みを検討しました。これからは、山間地域の景観、環境保全に都市との交流を図りながら地域の活性化に繋げようとNPO法人を立ち上げました。
 また、田園空間整備事業という制度を利用し、町の環境の整備を開始。みんなが力を合わせて集落が生き生きとできるように、荒廃地対策、かつて地元名産だった柿「ごんだ柿」の見える風景の復元をし、道路の整備を始め、集落のうっそうと茂る木を剪定して、子供達も安全なように明るい環境にしたりしたそう。現在では、その「ごんだ柿」も大きくなり、収穫した果実で柿酢作りをしたり、から芋を植えでんぷん作りをしたり、豊かな自然の恵みを利用し山菜や地域資源を活かし、地域色を出した商品の開発や販売も始まっていて、町の活性化、高齢者対策、過疎化対策にと、大変精力的な活動を行っている。

 過疎地の活性化には、地元の人たちだけの努力では先々同じ問題が起きてしまいます。他の町に住んでいる人や都会からの移住者を積極的に受け入れ、地域に馴染んでもらい定住してもらうということも重要。子供達に田舎体験をしてもらい、自然環境に触れてもらうのも大切な活動。民泊受け入れや農村体験ツアー、自然を感じられる「食」を考える会など、これからも町の活性化に繋がる事を積極的に行っていきたいですね。こういう地域には「馬鹿みたいに」一生懸命になる人も必要なんだと思いますよ。何事も楽しみながらやることが続けていく秘訣です!と、活動の様子を話してくれました。

【正応寺ごんだの会の主な活動内容】

正応寺地区住民の目標
1)自分たちで考え、自分たちでできる事は自分たちでやる。
2)1歩、2歩、先を考えた先取り行動をする。
3)公民館員全員が地域活動に参加する。
※田園空間整備事業で整備された集落農道など、地区内の道路を全員で清掃します。
※集落農道や地区の景勝地に桜を植樹する計画で育てています。
※河川の清掃、標識の設置なども行っています。

田園空間博物館都城地区
●平成12年度田園空間博物館都城地区に認定
従来の建物の博物館ではなく、美しい田園風景や伝統芸能、歴史的価値の高い農業施設、史跡などを展示物とする「屋根のない博物館」。

●平成12年田園空間整備事業都城地区で採択
石積み水路の復元、散策道路の整備、親水公園の整備、景観保全などを実施する事業。
・正応寺……集落農道と駐車場の整備。農業伝承の家復元・展望台整備など。

ワークショップ
自分たちが住んでいる地域を知り、地域の活性化をみんなで考え、みんなで行動する。作業場がワークショップ。
●地域を知ろう!
1)地域の環境点検
自分たちの住んでいる地域のいいところ、悪いところを点検。
2)環境点検マップ作成
地域環境点検結果をもとに環境点検マップを作成する。

●地域の事を語ろう
1)環境点検マップで地域整備機構想案の作成
地域の夢を語り合い、地域整備構想案を作成。
 ↓↓
ワークショップの夢が実現へ!

●地域の夢が…
1)やっさごんだ(安久の柿)の見える風景復元
2)農家伝承の家の復元
3)六ヶ村城展望台取付道路の整備
4)六ヶ村城展望台トイレの設置

●現実へ!
県営田園空間整備事業
田園空間博物館都城地区で採択

夢実現のための地域の取り決め
整備された施設は地域住民が責任を持って維持し管理し、有効活用する。

【これからの正応寺】

NPO法人の部門
●総務部…会計、庶務、広報、IT
●まちづくり部…高齢者・子供支援、地産地消物産品開発販売
●集落営農部…受託事業、農業体験、荒廃地対策、柿植栽、永年農業
●企画部…イベント企画、サテライト支援
●グリーンツーリズム…宿泊
●田園博物館部…サテライト施設の運営・管理
※「ごんだ柿」を利用した、柿のある風景写真コンテストや各イベントも計画中。

花づくり運動
 
柿の渋抜き体験
 
ワークショップ
 
環境点検マップ
 

代表 石井和郎さん

〜お問い合わせ・連絡先〜

 NPO法人 正応寺ごんだの会
 代表 石井和郎
 住所 885-0044 都城市安久町869-3
 会員数 50人(正会員) 45人(協賛会員)
 電話 0986-39-3760
 FAX 0986-39-1160
 URL http://www.geocities.jp/npo_syououji_gonda/top.html


ライターズEYE
 柿の話、農業の話、まちづくりの話…。とても楽しく興味深い話をして頂きました。とってもバイタリティーに溢れる方で、聞くと、昔は役場に勤め、その後商売をし、代議士秘書を経て今に至る、と。「いろいろな事に興味があるんだよね。人との繋がりで、いろんな発想も湧いてくるし」。いつまでも精力的に活動できるというのは、とても素敵な事だなと、感銘を受けました。
 地元の特産品で商品を開発したり、自然を生かした薬のいらない農作物を作って行きたいと、長年続いている子供達との活動も続けて行きたいと、とても生き生きと話してくださいました。こういう「おじさん」がいてくれる環境にいられる子供達は幸せだな〜と思います。私が子供だった頃には結構いてくれたような…。生きていく、生活していく中で大切な事を教えてくれる、大きな存在なのではないかな?と。
 そういえば、私の母の実家が都城にありました。私が幼い頃、祖父が小さい柿を剥いて軒に吊して干し柿を作っていました。そう、ごんだ柿です。ここに来なければ、この先そんな事思う事もなかったでしょう。とても懐かしく、いい体験をさせて頂きました。
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