◆主な活動は?
●「サロン活動」
えびの市の65の行政区のうち40地区の公民館で月に1度、高齢者や障害者の方を対象に女性のボランティアさんが自分たちで作った料理を一緒に食べるというサロン活動を行っています。
特徴としては地域の婦人会等、既存の団体はこのサロン活動には加われません。サロン活動を自主的に行ってくださる方々の団体を、別に作ってもらっています。7〜8人のグループから、50人を越えるボランティアさんの団体もあります。
50代から70代の主婦の方が中心ですね。月に一度の交流の場です。お仕事をされている方でも都合をつけて参加される方もいらっしゃいます。この活動を通して、ご近所の方々との交流がうまれ、地域コミュニティーが構築されることを目指しています。できれば全部の公民館で、この活動が行われるようになると良いなあと思っています。
●「ボランティア大学」
介護保険ではカバーできない利用者からの要望、たとえば、ゴミ出しのお手伝いだとか、年末の大掃除、庭のお手入れとか、そういう小さな悩みに対応できるように、平成19年から「ボランティア大学」というボランティアの養成講座を開設致しました。
年間1,000円の学費(登録料)を払ってもらって、通信費と保険料にあてています。生徒さん、とは言っても65歳以上の方が多いです。話し相手のボランティアのやり方とか、災害時の持出しのボランティアや介護保険のことなど、いろんなことを広く、浅く学んでもらって2年たちました。約140名の生徒さん、つまりボランティアの方が育っています。
基礎講座が終了して、今は実践段階に入っています。えびのにボランティア大学というものがあるんだよということをPRするためにも、たとえば「真幸駅友の会」の方といっしょに清掃活動をおこなったり、おにぎりをにぎったりとか、共同事業を各ボランティア団体にお願いしています。ボランティア団体から「こんなことをお願いできるボランティアさんがいませんかね」と要請されたときにも、ボランティア大学の生徒さんに声をかけて手伝ってもらう。
ボランティアが相互協力しながら連携をとっていくひとつの手段となっています。講習の段階では140名いた生徒さんですが、実践段階にはいるときに再入学してもらいました。「講習だけ受けたい」という方もいらっしゃいますから。そして実働のボランティアさんは76名になりました。
今、とくに力を入れているのは、1人暮らしの家庭などで介護保険を使われている方など、年末年始の家の片付けや窓拭きなど小さなニーズに応えること。「ここにこんなことをしてもらいたい、手伝ってもらいたいと困っている利用者さんがいるんだけど」という声をケアマネージャーさん達がずっとあげてこられました。
その声に応えられるのは、利用者さんの身近に住んでいらっしゃるボランティアです。だから、そういう方々のもとにボランティア大学の生徒さんの中から2〜3人で組んで手伝いに行きましょうということを呼びかけています。
そういう訪問活動を繰り返すことによって、できれば(訪問する方を)固定していきたいなあと思います。
同じボランティアさんが繰り返し訪問することで、おのずと人間関係ができますよね。最初はそうやってコーディネイトしても、あとはボランティアさんと利用者さんの間で直接やり取りしてもらえば良いわけです。
自分たちの地域で困っている人がいたら、その周囲にいるボランティアさんが動く。一番の基本はそこです。助け合いの心、それを持っているのがボランティア大学のみなさんです。
「講習は受けてないけど、ボランティア大学に入りたい」という方もいらっしゃいます。いきなり実践ですけど、やる気さえあれば何でもできます。専門的な知識がなければできないボランティアは無理でも、ちょっとした草取りなんかだったら、誰でもすぐできるんです。
●「地域での見守り活動」
えびのは高齢化率の高いところです。全体で34%ですが場所によっては40%を越えているところが20ヶ所、そのうち50%超が6〜7ヶ所あります。
たとえば災害時には非難や持出しの助け合いのできるような協力体制が必要です。
えびのは以前、えびの地震で大きな被害を受けました。そのような災害がまた起こったときに、お互いに助け合うことが出来るようにするには、日ごろから近所のお年寄りに目配り気配りが行き届く環境が望ましい。地域によってはご近所同士で2〜3軒のユニットを作って、たとえば「今日はカーテンが開いてないけどどうしたのかしら」とか、常日頃から近所の人たちで様子を見る、見守っていきましょうという活動を行っています。
ボランティア大学やサロン活動のボランティアさんを通して、そういう意識を地域住民にも持ってもらえるよう、その地域のボランティアさんを中心にしてもっと広げていきたいと思っています。
◆活動を通してうれしかった事は?
地域のボランティアさんたちと顔の見える関係作りができたことです。「こんなボランティアを探している」とか「こんなことを手伝って欲しい」という利用者の声にすぐ対応できるボランティアさんたちとの関係が築けたこと、そういう体制が作れたことが大きいです。
◆どんなところにやりがいを感じていますか?
事業推進にボランティアさんたちが熱心に協力してくださる姿。ボランティア大学のみなさんは、一声かけたらすぐ集まってくれます。またボランティア活動は、交流の場でもあります。ボランティア大学の皆さんで、ひとり一品持ち寄って交流会とかされるんですけど、本当に楽しそうにされています。そういうところにも、良い関係が築けている手ごたえを感じます。
◆この活動を通じてどんな事を実現したいですか?
サロン活動をされてらっしゃる方もボランティア大学の方も、地域の皆さんと日ごろの関係を構築するきっかけとして活動されていらっしゃいます。コミュニティー作りにもボランティア活動が役立ってくるのです。福祉やボランティア活動を通して、まちづくりを行うということでしょうか。市民の方々が安心して暮らし続けられるまちづくりです。えびのは高齢化率の高い地域ですから、「お互い年取ってきたんだから、助け合って生きていかんといかんとよな」とわざわざ言わなくても、自然とそうなっている地域にしたい。ボランティア大学の人を核として、ボランティアの意識を高めて、地域をまとめられるように。助け合いの地域、みんなが安心して暮らせる町を実現したいです。
◆5年後どんな活動をしていますか?
ボランティアする方も、利用者も高齢者が中心。ですから、サロン活動を全地区が行うようになっているとうれしいですね。社協としては地域住民の福祉の向上が目標です。今、ボランティア活動をされていらっしゃる方々も、このまま継続していけば当然地域におけるボランティア活動への意識もあがっているでしょう。日ごろの隣近所への気配りの体制も出来上がっている。ゴミ出しとか病院に送ってもらうとか、そんな小さなニーズ、でも本人にとっては大きな問題に、ボランティア大学の方であるとか、サロン活動で顔見知りになった方とか、誰かが助けてくれるような地域づくりが5年後にはできあがって欲しいですね。
◆協働事業への考え、取り組みについて
地域住民やボランティア団体と協働協力して地区毎の見守り体制の整備、地域住民の顔の見える関係づくり。小さいまちだからできる顔の見える関係です。えびのの場合、ボランティアと地域福祉はいっしょという考え方です。地域福祉を推進する上で、ボランティアはなくてはならない存在です。
◆最後に一言PRを
社会福祉協議会は地域住民からの温かい善意や寄付金を財源として、地域住民の暮らしを守り、安心して暮らし続けることの出来るまちづくりに頑張っています。
お話は、事業推進課長、ボランティアコーディネーター
津曲弘志さん。 |